息を切らしながらも家から会社までを伝う駅までの道のりは何とか乗り切った、だが思ったより汗をかいてしまったようで身体に水分が纏わり着く感覚がある、拭いたい気持ちもあるが生憎今日はハンカチなどを持ち合わせていなかった。
駅構内には足早に改札を抜けていくサラリーマン風の男もいれば、女子中高生だとみられる3人組が談笑しながら誰かを待っている。そんな中私はいつも通りの手順で定期券をかざし改札を通過、、、できない。しまった、この定期券は昨日までが期限だった、とっさにそう思い出した私はいそいで切符売り場に向かう、が、目的地までの料金を覚えていない、あわてて料金表をみるが眼鏡がないと文字などただの黒点にしか見えなかった。
習慣という物は恐ろしく私の場合通勤に視力を必要としなかったため眼鏡は家と会社にしか置いていないのだ。
これでは仕方がないので私は券売機に1000円札を投入し購入できる最大金額の光っているボタンを押した。
あの駅までは1000円もかからなかったのは覚えている、つまり1000円ほどの切符を買っておけば問題はないはずだ、と少し賢くなった気分で改札を通過した。
あわてすぎたか私に多少視線が集まっていたが、これはアクシデントだ、周りの人間に見られるのは仕方がない、と、さほど気には留めなかった。
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